超交流会の当日は「学生ベンチャー入門」というセッションで、同じ御池ビルののぞみ藤田さんと、株式会社ゆめみの深田社長、株式会社ランゲートの喜社長と一緒に登壇させていただきました。学生がベンチャーを立ち上げるうえでのアドバイスを経験談を交えながら話す内容で、質問は4つくらいあったのですが、最後に会場の方から「潰れるベンチャーと潰れないベンチャーの違いはなんですか?」という質問があり、そこで出た内容を紹介したいと思います。
これについては、4人の意見がけっこう一致していて、普遍的な答えがあると感じました。結局「諦めずに粘り強くやるべきことをやること」じゃないかと思います。これは単に諦めが悪いというだけではなくて、うまくいかないときにどうするかという行動パターンに差があると思っています。
大事なのは、その場でやるべきことをちゃんと考えてやれるかどうか、という単純なことだと思います。そもそも、人の能力にはそれほど個体差はなく、例えば一日でできる作業の量なんてそんなに変わりません。結局何かというと、長い期間やるべきことをやり続けられるかというのがやっぱり大きいと思います。
困難な状況というのは結構訪れるもので、スタートアップの時は特に理想の状態とあまりにもかけはなれていて、何もかもダメって状況なので挫けそうになります。人は理想の状態とあまりにもかけ離れていると思考停止に陥るというか、漠然とした不安に取り憑かれてしまって、何もかもダメだと思ってしまいそうになります。特に立ち上げ時のベンチャーはそういう状況が続くものですが、でもやっぱり人の能力にそんなに差はないので、その日一日一日やるべきことをちゃんとやれるかってこと以上に、できないわけです。それがMAX。どれだけ差があろうと、最善の策は、その日一日やるべきことをやることなんです。それ以上のことはできない。そう思うと結構、気が楽になると思います。
どうせ今日一日やれることをやるしか無いんだって思うと、次の段階として、やることを考えるために課題をブレイクダウンする必要があります。漠然とした不安って何なんだろうってテキストで書き出してみるんです。例えば、新サービス作って流行らなかったらどうしよう、人力検索を使ってくれる人が少なかったらどうしよう、みたいな。そういう不安の内容を書き出してみます。面白いのは、書き出してみると客観的になれることです。で、次にそれを良くするためには何ができるか、というのを他人事みたいに書いてみるんです。人が集まらないことについてなら、友達に声をかけてみるとか、回答者が集まらないようなら自分で答えてみようとか、奥さんに手伝ってもらったら一日100問くらいできるかなあ、とか。書き出してみると、今より良くなる方法がいくつか出てくるものです。最後にまた他人事のようにどれが一番良さそうかなと考えて、これが良さそうだと思った項目から、その日一日やってみる。このことの繰り返しです。
それでもやっぱり人には才能の有る無しがあるんじゃないか、という考えがあります。僕は、一番重要な才能があるとしたら、それを続けられるかどうかだと思います。もちろん一日にタイピング出来る量とか、頭の回転が多少早いとか、そういう能力には多少差はあると思います。でも最後は、そういうたゆまない改善を諦めずにいつまでもできるかどうかが重要で、これは言い換えれば“好きかどうか”だと思います。
例えば、はてなにヒットサービスがない、次にどんなネットサービスがヒットするのかな、ということを考えるのは僕はそんなに苦ではありません。考えていてワクワクするし楽しいことです。そういう好きなことをを仕事に見つけるまで時間がかかりましたが、でも見つけてしまえば迷いがないし、そんなことを仕事にできるなんてすごい幸せだと思えます。好きなので、次何したらいいかなってのをずーっと続けられるのです。そういう改善を毎日やり続けられるくらいの好きな仕事かというのが、会社がうまくいくかどうかの境目かなあと思います。
一番ダメなのは「腐ること」と思います。自分じゃないもののせいにしたり、人のせいにしたり。あとは投げたり、逃げたり、そういうことをしていても何も事態は改善しません。もちろん休むことは大事です。僕は毎日8時間寝てます。でもそれと投げるのは別です。自分が壊れないように休みつつ、基本的に腐らない。そういう強さというか、しぶとさが起業家の基礎体力のようなものかもしれません。
…と、そんな話をしました。
超交流会自体はちょっと変わった会で、京都大学大学院情報学研究科の同窓会がベースになっているそうなのですが、ぜんぜん情報学研究科出身じゃない人が結構入っていて(僕も理学部出身なのでそうです)、「京大」「IT」「ベンチャー」みたいな大雑把な括りで幅広く、主催の今村さんや藤田さんらの人脈で呼んできて、いろんな方が来られて話す会になってきています。ただ、その雑然とした中にパワーがあって、「未来に向かってがんばろう」みたいな活力を与えられる会でした。参加者も500人くらい来てたらしく、思った以上に盛り上がっていたなあという印象です。主催されている今村さん、藤田さんも同じ御池ビルですし、来年以降も関わらせてもらえたらと思っています。こういう会もきっかけにしながら京都がさらに盛り上がり、この雑然としたパワーの中から世界に通じるようなベンチャーが出ると良いなと思います。
写真は懇親会のジャンケン大会の様子です。