「京都オフィスを3倍に増床する」というプレスリリースが出ましたが、はてなはいま変革の時期にあります。2008年に京都へ移ってきて2年半が経ち、その間メンバーの採用や入れ替わりもありましたが、7月から実質的に新体制で新しい戦略に向かって進み始めています。良い機会ですので、今後はてなのサービスを提供していくにあたって、最低限守っていきたいことを紹介したいと思います。
- 使って満足
- 使って安心
- 速くて安定したサービス
最低限この3つを守っていきたいと思います。
1. 使って満足
まず第一に「使って満足」。ユーザーの皆さんに使って満足して頂けるサービスであることが基本中の基本です。もちろん今までもこれを心がけてやってきましたが、改めてこの「使って満足」を一番の基本に置きたいと思います。
サービスを長く提供していると、ユーザーさんとの距離や感覚がだんだん離れてしまう事があります。ふと気付くとサービス提供者側の論理でものを考えているなと気付く時があります。しかしこれでは満足できるサービスは作れません。自分自身ユーザーとしてサービスを使い、他のユーザーさんと話をし、常にユーザー視点で良いサービスを目指していきます。
特に作り手の自己満足に陥らないように注意したいと思っています。例えばサービスを作るときに新しい技術やテクニックをいろいろ駆使してみたいという衝動にかられることがあります。しかし、時には最新の技術より枯れた技術を使ったり、既存のサービスと操作感が統一されている事がユーザーさんにとっては迷わず使えて一番良い場合もあります。新しい技術は常に取り入れて行きますが、それがユーザーさんのためになっているか、それによって使う人間がメリットを受けるのか、ということを常に考えて開発していきたいと思います。
関連して「満足度アンケート」というものを5月から始めました。ユーザーさん向けにランダムにアンケートを送付させて頂き定期的にご意見を頂戴しています。各サービスの満足度やご意見を参考に改善しながら、高い満足度目標の達成を目指していきます。
8月のアンケートでは「うごメモはてな」がいち早く目標の満足度2.0を達成し高い評価を頂きました。他のサービスもこのレベルに持っていきたいと思います。
2. 使って安心
次は「使って安心」です。はてなを使っている中で、セキュリティに不安を感じたり、度を超えた誹謗中傷などにいきなり遭って悲しい思いをするといったことを無くしたいと思っています。もちろん「表現の自由」は大事で、適切な批判や建設的な議論ができる土壌は絶対に守りたいと思っています。その一方で、非常に無責任な立場で他人の悪口だけを言うような人がいるのも確かです。そういう人の言動で罪のないユーザーさんが被害を受ける事を無くしたいと思っています。
すでにいくつか具体的に動き始めており、9月1日にははてな情報削除ガイドラインの改定を行いました。匿名性の高い無責任な発言に対しては厳しい基準で臨むルールとしています。
はてな情報削除ガイドラインの改定について - はてなの日記 - 機能変更、お知らせなど
はてなブックマークには先日twitter上でのRTが表示されるようになりました。
Twitter連携機能をバージョンアップし、ブックマークしたURLのTwitterでの反応を表示するようになりました - はてなブックマーク日記 - 機能変更、お知らせなど
こちらはtwitter連携をさらに進めた機能追加になっていますが、はてなブックマークのコメントに対しての対話可能性が出た事で、議論を促進する効果もあると思っています。
度を超えたコメントに対しては、元のブログオーナーがブックマークのコメントを個別に非表示にできるといった機能も順番に追加していく予定です。
さらにはてなのユーザーさんだけでなく、外部ブログのユーザーさんからも「はてなブックマーク」にご批判を頂く事がありますので、外部のユーザーさんからも安心して見ていただけるようなサービスにしたいと思います。具体的には外部アカウントとの連携によるコメント非公開機能などを検討しています。
3. 速くて安定したサービス
春にアンケートを取り始めて多かったのがまず、サーバーが遅い、重い、よく落ちる、バグがある、といったご指摘でした。技術力の高さを標榜しているはてなで、こうした技術面でのご意見がたくさん寄せられる事はあってはならない事だと感じました。以前からもご指摘を頂いていた事ですが、結果を見て改めて「これじゃいけない」と感じ、「今が一番サービスが遅くて不安定な時期にしよう。現状から絶対遅くしない」と技術メンバーと決意しました。
具体的には現在、サービスの稼働率を99.8%以上、ピーク時間のレスポンスタイム1000ミリ秒以内、という目標を掲げ始めています。さらに高い目標を掲げている企業さんもあるでしょうが、まずはここからです。この速度を出せないものはリリースしない、という基準で開発を始めており、たとえば先日「はてなダイアリー」の管理画面をリニューアルましたが、機能的には1週間前に完成していたのですが、この指標を満たしていなかったためにパフォーマンス改善にさらに1週間取り組んだうえでリリースし、「速い」とのご評価を頂きました。
「安定」という面でも、新機能を出したけどバグがあるせいで皆さんにちゃんと使って頂けない、といったことがあってはいけないので、リリース前のチェック体制を充実させています。8月はインターン成果物が連続で出たりとリリースがたくさんありましたが、バグの報告は少なく、ユーザーさんの満足度が過去最高水準で推移しています。こちらもさらに高い品質を目指していきます。
以上3つを書きましたが、これはあくまで「最低限」守りたい事です。この上に、「魅力的なサービスを作る」取り組みが乗っていきます。どれだけサーバーが速くても、皆さんがワクワクするようなサービスが提供できなければサービスの成長はありません。「はてなは次に何を出すのか」と、ユーザーの皆さんに期待して頂けるよう、常に新しい領域に挑戦し続けていきたいと思います。