ものをつくる人が経営をするということ


WISH2011というイベントに登壇させて頂きました。
徳力さんと1対1の対談という形でお話しさせて頂きました。
講演の中で、ものづくりをする人間が経営をするのが最強だ、という話をしました。
Appleスティーブ・ジョブズや、Googleラリー・ペイジfacebookマーク・ザッカーバーグなど、多くの成長企業でものをつくる人間が経営を行っています。
そういった素晴らしい経営者に勇気をもらいながら、自分も少しずつ成長したいと思っています。
WISHではたくさんのスタートアップの方が新しいサービスのプレゼンテーションを行い、その中には個人で活動されている方もいらっしゃいました。そんなプレゼンターの方々とお話しする中で、この経営の話になりました。
サービスをつくるのは楽しいけど、自分が経営をするイメージが沸かない、自分が得意だとは思えない、という話をされている方がいらっしゃいました。
僕自身もそう思っていました。それでも今、自分で経営をやっています。
誰でも彼でも経営をするべきだ、ということを言うつもりは全くありませんが、僕は最近、経営というのは「大きな事をやろうとする時に必要な事」だと感じています。
最初は個人で作っていたサービスも、人気が出るとたくさんの人が使い始めます。
ユーザーが増え始めると、サービスを個人で運営することができなくなります。
それでもユーザーさんに満足してもらおうと思ったら、組織を作って仕事を分担していくしかなくなります。
組織を維持するためには、利益を上げ続ける必要があります。
ユーザーさんにさらに満足していくためには、開発を行って新しい機能やサービスを作り続ける必要があります。
そうやって、一人ではとてもできないような「大きな事」をやるために必要な一連の事をやることが経営なんだな、と感じています。

経営というと、僕自身以前はもっとお金に関することだというイメージを持っていました。
どこかからお金を持ってきて、従業員にお金を払って、生産をして、販売をして・・・といったお金に関すること。ものをつくるのとは対極にあること。そういうイメージでした。

しかしそうではなくて、より本質的には、会社という組織を作って何をしたいのか、という理由があって、それを実現するために必要な事を実際に実行していくのが経営だと思います。

たとえば家庭を維持していくにも家計をやりくりしながら家族の目標を達成できるような日々の活動が必要です。クラブを運営するには組織をまとめていく必要があります。その規模が大きくなっていくと、だんだんと難易度が上がっていきます。

組織の活動を維持し、拡大させるには、そもそも何がしたいのか、という理由があって、それを実現することに興味を持てる人が集まって、それぞれが得意な力を出し合って、共通の目標を実現していく。そのためには、理由を持っている人=「大きな事」をやりたい人、が中心となって、組織を動かしていくことが必要となる。それが経営の仕事だと最近は思っています。

会社の「そもそもやりたいこと」が良いインターネットサービスを提供することならば、それをやりたい人間が経営をすべきなんだと思います。多くのものづくり企業で、ものをつくる人間が経営をやって成長しているのはそうした理由からではないでしょうか。

はてなでは、インターネットの新しい仕組みを作って、それを多くの人に使ってもらいたいと思って会社をやっています。

10年間会社をやってきて、まだまだ日々学ぶことばかりですが、自分たちがそもそもやりたいことを忘れずに、「大きな事」を実現できるようにこれからも着実に進んでいきたいと気持ちを新たにしました。