はてな11歳

今日ははてなの11歳の誕生日。2001年に法人登記をしてから11年が経った。

ちょうど昨日、はてなが京都に移転してからこれまでやってきたことの振り返りを社内で行った。7月は期末でもあるし、来年の話をする前にまず今年を振り返っておこう、と企画したのだが、今年やったことを振り返るには、もう少し長い流れを踏まえないと、なぜそういうものを作ろうということになったかを説明しきれないことに気付き、結局4年間くらいの取り組みを1つの年表にまとめ、一緒にやってきた仲間と振り返った。

2008年に京都に来てから4年間の振り返りをすると、いくつかの成功と、たくさんの失敗の歴史が重なっている。改めて眺めていると少し胸が苦しくなる思いがした。

新サービスを作ってヒットさせるのは難しい。サービスがヒットするには、いろいろなものが重ならないといけない。

アイデアは確かに必要だ。特に作り込むときに素晴らしいアイデアがいくつも次々と生まれる状態が作れなければ、凡庸なものができあがってしまう。

どれだけアイデアが良くても、世の中に必要とされないものを作っては仕方がない。ブログサービスは、ブログが世の中に必要とされ、大きく伸びる時に作らなくては意味がない。新しいサービスも、そのサービスが必要とされる時代がある。

サービスを使ってくれるのはユーザーさんだ。どういう人に、どうやって使ってもらいたいのかをイメージできなければいけない。作り手が作りたいものを作るのではなく、使い手が使いたいものを作らなくてはいけない。組織の中にいながら、組織の外にいるユーザーさんの事を思って、体験を作り上げなくてはいけない。

適切なタイミングで、適切な戦略を描いたとしても、それを着実に実行する力がなければいけない。大きな仕事は一人ではできない。仲間を集めてチームで仕事をする必要がある。誰にどういう体験を届けたいのか、まだ存在しないサービスがどういうものであるべきかのイメージを、他人と共有して、開発を行う必要がある。そうしてはじめて、連続的にアイデアが出て、素晴らしいものづくりができるようになる。アイデアをひねりだしたり、プログラムを書いたり、デザインをしたりするだけじゃなく、他人とコミュニケーションをする必要がある。

やろうと決めたことをやり切る力が必要だ。思ったようにうまく進まなくなったりする。なかなか面白いものが出来上がらない時がある。筋の悪いものは捨てて、筋の良いものを選ぶ勇気と柔軟性を持ちながら、遠くに決めたゴールに向かって進み続ける必要がある。覚悟を決めたら、ゴールを目指して進み続けなくてはいけない。

サービスをヒットさせるために必要なことは1つじゃない。たくさんの事が同時に重なる必要がある。例えば個人や数人のチームなら、いくつかの力を発揮できる人が集まればこうした状態を小規模に作る事ができる。会社となると、それぞれの力をさらに大きな規模で揃えていく必要がある。この4年間の歴史は、こうした力を順番につけてきた歴史だった、と振り返りながら感じた。

はてなが12年目に入る。随分準備が整ってきたと思う。
はてなを使ってくれる人のために、もっと素晴らしい体験を届けていきたい。
僕たちの力を重ねて、素晴らしい体験を作り上げていこう。