短い夏休みを取って北海道に行ってきました。京都が暑すぎるので涼しいところに行きたかったのと、星野リゾートが運営するアルファリゾート・トマムに一度泊まってみたかったのとです。
最近星野リゾートの星野社長の経営に興味を持っています。
『プロフェッショナルの条件』や『カンブリア宮殿』などのテレビ番組を見たり、書籍を読んだりしている中で、星野社長の経営で一番感銘を受けたのが、「顧客満足度」を経営目標に掲げて、その向上を徹底している点です。「顧客満足度」を経営目標に掲げている企業はたくさんあると思いますが、その徹底ぶりがすごい。さらに、現場の力をうまく生かしたオープンな経営を行われている点も魅力的です。
たとえば『星野リゾートの事件簿』に出てくるのが、トマムの雲海テラスの話です。もともとスキーリゾートのトマムで夏場の顧客満足度向上が課題になり、なにか新しい策が無いかということになって、ゴンドラの整備担当の方が早朝の雲海を見ながらコーヒーが飲めるカフェを提案され、それが今や名所になっているということ。
それだけなら「良いアイデアを思いついた」というだけなのですが、素晴らしいと思うのは、最初はお客様に挨拶するのも難しかったという整備部門の方々が、徐々に満足度を上げるためには何ができるのかと考えるようになり、数年間をかけてヒットサービスの発案と実行をされるまでになったという変遷です。
そうした変化がたまたま1ホテルで起こっているわけではなく、星野リゾートが運営を引き受けたあらゆるホテルでそうした事例が起こり、経営破綻したリゾートホテルを次々に立て直されていて、そこには普遍的な経営の手法があると感じます。
自分なりに重要だと感じた点は、まず「利益」と「満足度」の両方をしっかり管理している点です。
コストを下げれば「利益」を短期的に出すことは可能ですし、コストをかけてサービスを過剰にすれば「満足度」を上げることはできます。しかし、サービス業を成立させるにはこの2つ両方を同時に向上させ続けなければいけないということなんだと感じます。
さらに、ホテルごとにしっかりコンセプトを決め、その範囲内で現場の自発的な創意工夫を活かしていく点が成功の秘訣なのだろうと感じます。結局サービスは現場で行われているわけですし、現場からボトムアップでサービス改善の工夫が行われるようにならなければなりません。しかしその改善の方向性があべこべではダメで、方向性を合わせるためには明確なコンセプトが必要ということなんだと思います。
インターネットサービスを提供している今の仕事にも活かせる部分があると感じます。
当日は少し寝坊してしまったせいですでに雲海は消えてしまっていたのですが、写真のような景色を見ながらカフェで気持ちの良い朝を過ごしてきました。
星野リゾートの事件簿 なぜ、お客様はもう一度来てくれたのか?
- 作者: 中沢康彦,日経トップリーダー
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