役割上、会議の多い仕事をしています。全社的な経営責任者という立場に加え、はてなのサービスの責任者として進捗や方向性を見ていますので、各ディレクターと方向性や成果を確認したり、サービス以外の責任者との会議もあります。なので会議の生産性を上げるのは非常に重要で、いろいろな工夫しています。その中で、最近重要だな、と思っている事を少し紹介したいと思います。
会議中は聴くことに集中して、最後にまとめて話す
最近心がけているのは「会議中にあまりしゃべらない」ということです。基本的なフォーマットとしては、会議をする相手に必ずアジェンダを作ってきてもらい、主に報告内容と相談内容をまとめてもらいます。そしてその内容を全部聴くまで基本的にしゃべりません。とにかく聴きます。途中で質問はしますが、それをどうするのかという話は、聴き終わってからやります。聴き終わったあとで、「ここはどうするか」「こうしたほうが良くないか」と話し始めます。聴きながらじっくり考えたうえで、その時間内で一番先まで考えたうえでどうするか決める、ということを心がけています。最後に議論になることは当然ありますが、途中でどんどんしゃべっていってしゃべりながら考える、ということにはならないように心がけています。
この方法は実はドラッカーの『経営者の条件』を読んでいて、なるほど、と思ってやるようになりました。GMの社長が会議中にはほとんど質問しかせず、その結果どうするかという方針については会議後にメモを配付して大きな成長を成し遂げた、という話が出てきます。
僕はそれを最初読んだ時「凄い」と思いました。なぜかというと、人としゃべるのは楽しいことだからです。会議のうちにしゃべらない、思った事を口に出さないのは我慢を要します。何も口に出さず熟考していると居心地の悪い沈黙が生まれたり、「機嫌が悪いのかな」と思われたりしてしまいます。でも確かに、本当に生産性を上げようと思ったら、会議中に「あーでもない、こーでもない」と話していることよりは、本当にじっくり熟考して「こうだ」と納得して決めることに時間を使ったほうが良いわけです。沈黙の中にこそ生産性があるわけです。そしてその意思決定によって、ものごとは前に進んでいきます。
けれどもそうは言っても、会議の最後まで何もしゃべらないというのはさすがにそこまで耐えられないですし、指示を出すだけではなく相手の意見を引き出して議論をしながら意志決定をしたいと僕は思っています。そこで最後に思った事を口頭で共有して議論をするようにしています。それでも、本当にちゃんと考えて「こうだ」って思うところを集中して話そうと心がけるだけで、会議の効率はずいぶん上がったと感じます。
会議が終わった後にメモを残す
会議を終えた後にもう一度自分の考えたことをまとめて、メモを書いて残す・相手に送るということを最近必ずやるようにしています。会議の成果は結局、「考えがどれだけ進んで何を決めたのか」ということです。そのアウトプットを定着させ、相手にも共有してしっかり理解してもらうために、メモを書くということを重要視してやっています。
最近のパターンとしては、1時間の会議なら最初の40分はひたすら話を聴いて、最後の20分で議論して、会議が終わったあとさらに20分かけて、考えた事をメモして相手に送る、というふうにやっています。この会議後の20分が肝で、話している間には思いつかなかったけど後でしっかり考えてみたら分かった、ということも案外出てくるもので、これは凄く重要です。
会議で話した内容を振り返ると、なんとなくまだもやもやしているな、と感じるところも出てきます。そこをうやむやにせず、現時点で確かだと思えるギリギリまで考えて、次に誰が何をやるべきなのかを書き出す、これを相手に伝える事までが会議だ、と思って実践しています。
会議は最小の人数で行う事も重要です。人数を増やせばそれだけコストがかかりますし、作業を止めることになります。10人を1時間集めると、2人のミーティングを5時間やるのと同じコストを使います。最近の会議はほとんどが、2人か多くて3人でやる事が多く、それ以上の場合は必ず1時間で終わるような仕組みを入れています。
ただし人数を最小にするといっても、最後に書いたメモは全社から見れるように社内グループで共有しています。というのも、僕と直接やり取りしている人だけが知っている情報を増やして、その人達の権威付けをしていこう、みたいな意図は全くなく、「仕事を効率化したい」という一心でやっていますので、僕が考えたことは誰でも読めるところに公開していて、興味があれば誰でも参照できるようにしています。もちろんメモだけで全ての背景がわかるわけではなく、各チームでしっかりとコミュニケーションしてもらうようお願いしています。
ブレストのように、こういう方法とは全く違う工夫が必要な会議もありますので、全ての会議をこうすれば良いわけではありませんが、こんな方法でいろいろ工夫をしてやっています。
本を読んで一度やってみよう、と思ってから3ヶ月くらいかかりましたが、自分なりのスタイルが出来てきたかなと思っています。
- 作者: P.F.ドラッカー
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2006/11/10
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