ツール・ド・北海道という自転車レースがあります。北海道の大地を、毎日200km近く、5日間も走り続ける自転車のレースです。
北海道の日本離れした壮大な風景の中、全て公道を使って行われるこのレースは、日本の中で唯一、町から町へと走り続ける本当のステージレースと言えるものです。
参加選手は国内の実業団トップチーム、海外招待チーム、それに大学チームをあわせて20チーム、100名の選手が参加します。
選手にとってはもちろんのこと、大会に関係する役員、審判、取材者にとっても、この大会は特別な大会です。日本には他に同様の大会が無いからです。
僕がこの大会に参加し始めてから7年目になります。そして、今年も特別な5日間が昨日終わりました。
大会に関係している人間の何割かは、今のツール・ド・北海道に満足していません。目の前にあるレースの話をしながら、彼らは、別のレースの事を思っているのです。
テレビでレースの生中継が実現すればとか、シャンゼリゼ通りのように札幌大通りでクリテリウムができたらとか…
彼らは、ツール・ド・北海道に関わりながら、そうやってツール・ド・フランスの話をします。遠い遠い場所のレースの事を思いながら話をします。それは、悲しく、また、楽しい話です。
ただそこには、小さな、果たされない夢のようなものがあります。同じような気持ちを抱いている人間同士がその事実を確認し、少しでも前に進もうとしている、それを感じるために僕は北海道に通っているのかも知れません。
今年はコース設定の影響もあり、大きな逃げが決まらず全てスプリント勝負のレースとなりました。それはそれで面白いのですが、やはり山岳の攻防を待ち望むファンも多いはずです。
去年に引き続きJスポーツで2時間番組が放映されることになりました。北海道にいけなくてもレースの様子を詳しく見ることができます。また、道内ではUHB放送でも2時間番組が放映されます。
そうやって、良い事も悪いこともありながら、1年1年が過ぎていき、歴史ができていきます。小さい夢がこの場所にある以上、僕はこのレースに関わり続けたいと思っています。