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「ネットコミュニティの設計と力」を監修させて頂きました

僕が監修をさせて頂いた、「ネットコミュニティの設計と力」が8月25日に刊行されました。

この本は、「角川インターネット講座」というシリーズの中の一冊です。全部で15冊もあります。この企画は、インターネットが本格的に普及し始めてから20年ほどが経ち、「このへんで一度これまでの日本のインターネットの全体をまとめておきましょう」と角川会長が仰って始まった、というなかなか壮大なプロジェクトです。

他の巻では、インターネット界の大御所の皆さんが監修を担当されており、インターネットコミュニティについての巻の監修をしてもらえないか、というご依頼を頂いた際には、自分には到底無理だと感じ、一旦お断りをさせて頂きました。そもそも監修という作業をしたこともありませんし、自分にはとても、という気持ちでした。

その後、改めて他の監修者の方などからもご連絡を頂きました。お世話になっている方からご依頼を頂いたり、時間的には何とかなりそうだということもあって、やれる範囲でやってみよう、と不安ながらお引き受けすることにしました。もう1年以上も前のことです。

いざ監修を進め始めると、今度は内容をどうするか、という問題が持ち上がりました。

「インターネットコミュニティについてまとめる」という漠然としたテーマはあるものの、内容はある程度お任せ頂いていました。しかし、「インターネットコミュニティ」と言っても、いったいどういう切り口でまとめれば良いのか、最初は見当がつきませんでした。

そこで、角川の編集者の方々や、はてなのメンバーとともに、どういう内容が盛り込めると良いか、議論を続けました。

まずはインターネットコミュニティが実際どう発展してきたか、といった歴史的なところは抑えたい、という意見が出ました。確かにこれは必要です。そこで、これまでのネットコミュニティがどう発展してきたかを、はてなユーザーでもある id:yomoyomo さんにまとめて頂くことにしました。

それから出てきたのが、「流行るコミュニティと流行らないコミュニティを分けるのは何か?」という疑問でした。「インターネットコミュニティを作った経験がない者からすると、コミュニティがうまく行ったりいかなかったりする理由がいまいちよく分からない」ということでした。これはなるほど、と思いました。というか、自分自身よく分かっていないな、と思いました。

確かに、資本だけでもないし、技術だけでもないし、マーケティングだけでもないし。コミュニティがうまくいく要件って一体何なんだろう、と改めて疑問に思いました。一度整理して考えてみたい、と感じました。

技術やマーケティング、ビジネスなど、インターネットコミュニティが成長する際に必要な要素はたくさんありますし、それぞれがうまくかみ合わなければ、継続的な成長は難しいでしょう。ただ、そうした専門分野は多岐にわたり、さらにそれぞれの分野ですでに専門書が多数出ています。そんな中、「うまくいくコミュニティはどこから生まれるのか」という疑問については、なかなか語られることが少ないのではないか、と考え、今回はこの疑問に向き合ってみたいと考えました。

そこで、数々のインターネットコミュニティの立ち上げのご経験があるけんすうid:kensuu)さんこと古川健介さんに、立ち上げのノウハウをまとめて頂くことにしました。これまでに培った貴重なノウハウを、惜しげも無く放出して頂けました。これだけでも、ネットコミュニティを立ち上げたい人にとっては相当な価値のある内容だと思います。

さらに、コミュニティ運営者の視点からだけでなく、ユーザーの視点からもインターネットコミュニティが立ち上がる時に何が起こっているのかを語って頂きたい、と考え、インターネットコミュニティに詳しい id:Hagex さんに一章をお願いしました。Hagexさんはネットコミュニティの立ち上がりを恋愛の初期と対比させるという、想像もしない、でも言われてみればとっても納得感のある切り口で、ユーザーの心理に迫って頂けました。

サービス運営者の視点、ユーザーの視点それぞれから、非常に興味深い内容が揃ったと思います。

ここまで来て、さらにどういう内容を盛り込めば本の内容が広がるのか、を考えました。監修作業を進めるうちに、どんどんと膨らんできたのは、「そもそもコミュニティってなんだろう?」という疑問です。普段から何気なしに「コミュニティ」という言葉を使っていますが、そもそも人が作るコミュニティとは何か、人はなぜコミュニティを作るんだろうか、という疑問が生まれてきました。

インターネットコミュニティも、人が作るコミュニティの一形態、あるいは一側面に過ぎません。インターネットコミュニティの本質に迫ろうとすれば、人のコミュニティについて考えざるを得ないことに気づきました。

そこで、人のコミュニティとは何か?という疑問に答えて頂ける方を探す作業が始まりました。これが難航しました。一体どういう分野の方に語って頂くと、コミュニティが分かるのか、なかなか思い当たりません。社会学やネットワーク理論など、さまざまな専門分野で活躍されている方の書籍にあたりましたが、なかなかぴったりの内容に出会えませんでした。

そんな中、たまたま新潮社さんの「考える人」で、山極寿一さんの「家族ってなんだ?」という記事を目にしました。山極寿一さんは、現在京都大学の総長ですが、もともとゴリラを中心とした霊長類の研究者です。その山極さんが、数々の霊長類との対比から、「人はなぜ家族を必要とするのか」を語られていました。この記事を読んだ時に、「これだ!」と感じました。

考える人 2015年 02月号

考える人 2015年 02月号

インターネットに関する本を作る際に、まさか霊長類学者の方に原稿をお願いすることになるとは、最初は全く想像もしませんでした。しかし、いざ山極さんの書籍なども拝読してみますと、僕たちが求めていた内容がそこにあると感じました。

よくよく考えてみると、インターネットコミュニティというのは、人が作る新しい形のコミュニティです。その新種のコミュニティについて考えるにあたり、進化史を逆にさかのぼって、霊長類が作るコミュニティと人のコミュニティの対比から人のコミュニティを考えることで、その先にあるインターネットコミュニティの輪郭がより明確になると考えました。

ぜひ山極さんにも一章書いて頂きたい、という希望は固まったものの、総長の仕事もお忙しく、引き受けて頂くのは難しいのではないか、と思われました。しかし、今回幸運にもお受け頂くことができたのです。

山極さんの章では、数ある霊長類の中で「人のコミュニティ」だけが持っている特徴など、目からうろこが落ちるような内容も含めて、本巻にぴったりの内容を語って頂いています。

コミュニティの本質に触れたあと、最後は「これからインターネットコミュニティはどうなっていくのか」という、未来に向けて話で締めたいと思いました。

これからの未来を語るにあたって、「どういうサービスが流行りそうか」といったトレンドの話ではなく、できればこれからのインターネットコミュニティが必要とされる社会背景も含めた、大きな視点での内容を盛り込みたいと考えました。そのような前提で見渡した時に、長い歴史を踏まえて俯瞰した視線で日本の社会やコミュニティについて語られている広井良典さんに行き着きました。

広井さんは、ご著書の「人口減少社会という希望」などで、長らく続いた人口増加が減少に転じ、経済成長もピークを超えた日本社会が、これからどうなっていくか、について述べられています。その内容は決して悲観的なものではなく、むしろ明治から最近までの状態に少し無理があったのではないか、という落ち着いた姿勢を前提とした上で、より自然な状態へと着地していく未来を描かれています。

これまでのインターネットコミュニティが必要とされた社会背景には、リアルな社会の中で、職場と自宅の間に豊かなコミュニティが存在しない窮屈さがあり、そこを補完するようにインターネットコミュニティが繁栄したのではないか、と僕自身感じていました。広井さんのお話は、そのように漠然と感じていた感覚と合致し、日本の社会をより具体的に述べられることで、自分の認識がどんどん整理されていくように感じました。そんな広井さんに、これからの日本社会の中でコミュニティはどうなっていくのか、インターネットはどういう役割を果たしていけるのか、を語って頂きました。

最初は「どうしたら良いのか」と途方に暮れながら始めた監修作業ですが、こうして1年以上の作業を終えてみると、幅の広い充実した内容が集まったと感じています。

購入するとちょっとお高い本ですが、機会があればぜひ手にとって頂ければと思います。

豊島美術館に行きました

その形をまだ見たことがない人に、どう表現すればこの形が伝わるだろうか。
なめらかな曲線をした、大きな深いお皿を、うつ伏せに置いたような形の建造物で、その中に、まるでどら焼きの中に入るかのように、人が入ることができるもの。こんな感じ??

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四国に行く用事があったので、帰りに瀬戸内海に浮かぶ小島、豊島(てしま)にある豊島美術館に寄ってみた。
少し変わった美術館で、展示されているのはさきほど紹介したような形の建造物というか、オブジェというか、そういうコンクリートの物体のみ。中の空間は想像したよりもずっと大きくて、ミニサッカーくらいできるんじゃないか、というくらいの広さだった。

どの方向を向いても、非日常的な、ミニマムな光景が目に飛び込んでくる。どの向きに写真を撮っても絵になる空間。

入り口から建物の中に入ると、すでに中にいる人たちが数人いて、その人たちがまた作品の一部のようだった。灰色の広い空間の中に、ぽつり、ぽつり、と人が立っている。5人ほど人がいる時がちょうど具合が良いと感じた。

落ち着きの良い場所を見つけて地面に座り、しばらく黙って入ってくるものを感じてみた。耳を澄ますと、2つの開口部から木が風に揺れる音や、鳥の声が聞こえてくる。吹き抜けていく風から、瀬戸内海に浮かぶ島の空気を感じる。遠くから船の汽笛が聞こえる。

視覚だけでなく、聴覚や触覚、五感を全部使って感じられる。これはコンクリートの空間を感じる場所ではなく、島全体を感じることができる場所だ。何も無いおかげで、余計にたくさんのものが入ってくる。

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帰りがけに美術館の方とお話していたら、「何も展示がないのにこれのどこが美術館なんだ」とか「これは一体なんなんだ」と言って怒り出すお客さんもいるらしい。まあ分からなくもないけど、これはこれ、ですよね。目の前にあるこれをただ、そのまま感じられたら気持ちが良い。どら焼きだろうとなんだろうと、説明しようと思うと何か適当なラベルが必要だけど、実物はここに来て、体で感じたそのものでしかないし、それで十分だ、と思った。

豊島美術館 写真集

豊島美術館 写真集

GA ARCHITECT 妹島和世+西沢立衛 2006-2011

GA ARCHITECT 妹島和世+西沢立衛 2006-2011

110kmあった実家までの距離が90kmに!

今住んでいる京都から、実家のある三重県菰野町まで、昔から何度も車や自転車で往復しています。
実家までの距離は、下道で行くと昔からずっと110km。最近は新名神高速ができて、車での移動は随分早くて短くなったものの、自転車では110kmあるものとずっと思っていました。

ところが、先週末に久しぶりに「実家まで自転車で走ってみよう」と思い立ち、「そういえば」と思って、Google Mapの徒歩モードで実家までのルート検索をしてみたところ、なんと距離90kmと出るではありませんか。
「そんなばかな!どうしたら20kmも短くなるんだ!」と思ってよくよくルートを見てみると、細い道をうまくつないで、上手に斜めの道をたどっていくルートになっています。確かに地図で見ていても、細かく曲がって距離を稼げば、多少は短くなるかも、ということは思っていましたが、まさか20kmも短くなるなんて。
ということで、本当に90kmで実家までたどり着けるのか、今回はGoogle先生の言うとおりに走ってみました。

途中で2度ほどルートから外れてしまって少し余分に走ってしまったものの、結果は91km!本当に20km短縮できてしまいました。これはすごい!

Google Mapがなかった時代は、紙の地図を見て走っていました。それで、多少ショートカットできるかも、という道があったとしても、正確にそれで何km短縮できるかは、実際に走り比べてみないと分かりませんでした。さらに、GPS端末がなければ、細い道をくねくねとトレースするのは骨の折れる作業で、いちいち地図を出して道を確認しながら走るくらいなら、分かりやすい道をさっと走ってしまったほうが速い、という時代でした。

しかし、Google Mapのような細かい最短経路探索が簡単にできるサービスができ、さらにそこで示されたルートをリアルタイムに確認できるGPS端末が生まれたことで、これまではあまり現実的ではなかった最短経路サイクリングが出来るようになっていることを実感しました。

今回のルートは徒歩モードで出てきたルートだったので、「こんな道を行くの!?」というような砂利のあぜ道や、歩行者しか歩けない歩道橋もあったのですが、概ね自転車で走ることが出来ました。
さらに、斜めの道というのは、古くからの街道や、川に沿った道など、古くからの味わいのある道が多く、実際中山道の旧街道を走ることができたりして思わぬ楽しみ方が出来ました。徒歩モードすごい!また機会があれば別の場所でも試してみようと思います。

https://instagram.com/p/zoHrclFbxJ/
中山道の旧街道。古い建物などが道沿いに残っていました。
https://instagram.com/p/zoXqzElb6o/
永源寺ダム。車では通らない道です。

最短経路を行く際の強い味方Garmin。(僕はEDGE 705を使っています)