生きている実感を増やすために

久しぶりです。いつの間にか結構間が開いてしまいましたが、この3年半近くONDで事業をやっているうちに、少しずつ形ができてきました。同時に3つくらい事業をやっていて、それぞれが結構ばらばらのことをやっているようにも見える。でも自分の中では、テーマがあると思っている。今日はそのことを書こうと思います。

ONDの事業

もともと「物件ファン」という不動産メディアをはてなから引き継ぐところからOND社は始まりました。その後トレイルランナー(要するに山を走る人です)向けのサービス「IBUKI」を始め、さらに京都市内で「UNKNOWN KYOTO」という宿とコワーキングとレストランの複合施設の運営をしています。

不動産メディアとトレランと施設運営。確かに脈絡もなく、ただ思いついたことをやっているような印象を受けますが、自分の中ではなにかしら、「これからはこっちの方向が面白いだろう」という気持ちがあるわけです。

そうでなければ、「未来がより面白くなる」という希望も持てないし、毎日毎日熱心に仕事を続けることもできません。僕は、どうせ仕事をするなら、今よりも未来が面白くなることに取り組みたいと考えています。そういう目算が無ければ仕事に打ち込むことができません。

それじゃあ、「こっちの方向」てなんだ。どっちの方向だよ、ということを、あまり言語化して来なかったのですが、それを今言葉にするなら、「生きている実感を増やしたい」ということだと思います。

生きている実感?

生きている実感、ってなんでしょう。生きているな、って、どういう時に感じますか?

別に、どんな時も、死んでいなければ生きているわけですが、それでもやっぱり、「ああ、生きているな」って感じる時ってありますよね。

たとえば、自分のこれまでの人生を振り返った時に、「一番うれしかった時はいつですか?」とか、「一番大変だった時ってどんな時でした?」とか。そういう質問、よくあります。そういう質問がよく出るのは、それが人生のハイライト、人生を象徴するような時間だからだと思います。

人生全部だとちょっと長すぎて、考えるのが難しかったら、「去年一番楽しかったことってなんですか?」とか、「今週一番うれしかったことって何ですか?」でも良いです。

実際どうですか?なにか思いつきますか?

僕はどうでしょう。この1週間だったら、友だちと山にハイキングに行って、その後温泉に入って、お酒を飲みながら話したのが楽しかったです。仕事で外部の方に新しい取り組みについての提案をしたら、前向きに検討してもらえることになったのもうれしかったです。

「ああ、生きているな」と感じるのって、こういう時間じゃないでしょうか。

人と接しておしゃべりするとか、ちょっとしんどいけど山に登ってみるとか、新しい企画を考えてドキドキしながら提案するとか。

そういう時間に共通するものってなんでしょうか。共通点を見つけるのがちょっと難しかったら、逆に「少なくともこういう時間ではない」ということは、割と簡単に思い当たります。

それは、少なくとも自分が「つまらない」と思っているような時間ではないはずです。「つまらない」って何かというと、僕の場合だったら、いつもと変わらないような面白くないことを惰性で続けている時とか、中身のない話をだらだらと聞かされている時とか、何の目的もなくだらだら過ごしている時だとか、そういう時間です。

じゃあ「生きている実感を感じる」時間というのはどういう時かといえば、「つまらなくない」ってことで、「つまらなくない」というのは、例えば楽しい人と一緒に時間を過ごしたり、難しいことに挑戦していたり、何かを達成したり、逆にうまく行かなくて落ち込んでいたり、と、そういう時間です。

ひとことで言ったら、「ひっかかり」がある時間だと思うんです。のぺーっとして、平坦な、何のひっかかりも無いような時間ではなく、なにか「ひっかかり」がある時間。

簡単にはうまく通り過ぎられないような難しさだとか、ついつい目を向けてしまうような美しさだとか、平常心では居られないほど楽しいだとか。良いことだけじゃなくて、涙が出るほど悲しかったり、悔しかったり、落ち込んだり、そういうマイナスのことも「ひっかかり」だと思います。プラスのこともマイナスのことも含めて「ひっかかり」がある時間は、つまらなくない。

逆に言えば、何も考えなくてもやり過ごせるような、簡単な時間には「ひっかかり」が無い。「ひっかかり」がない時間を過ごしていると、生きている実感を感じにくいと思うんです。

目をつぶっていても進めるような道じゃなくて、注意が必要だったり、平常心では居られないような抵抗がある道を進む時に、生きている実感を感じます。

「簡単に生きられる」ような時間には、あまり生きている実感を感じられないとすれば、生きる実感を得るためには「簡単ではない時間」を増やせば良い、「ひっかかり」を増やせば良い、ということになります。

そのことについて、もう少し詳しく書きたいと思いますが、長くなってきたので、今日は一旦ここまでにします。また今度、続きを書きます。