自分はもうこれ以上は仕事できない、というところから5回くらいは壁を越えられる気がする

仕事をしていて、「ああ、今の自分は仕事をしすぎだ、もうこれ以上仕事をしたら体が壊れる」とか思うことって結構あると思うんですけど、実際はそう思ってから少なくとも5回くらいは壁を越えられる気がします。限界っていうのは、ある程度は認知の問題で、自分の中で「この辺までだろう」と勝手に限界を作っている部分もあるなあという事を経験上思うのです。自分の中で、「よくあれくらいのやり方で限界だとか思っていたなあ」と過去の自分に対して思うことも多く、その反省を含めて思うのです。
別に仕事に限らず、いろんな事を集中的にやる場合に、何年間もかけて体と精神を鍛錬していって、集中できる量を増やしていく、っていうことが人間はできますよね。
例えば自転車でも、ちょっと軽く自転車に乗り始めた頃というのは峠一つ上るだけで精一杯で、まさか自分が標高差1000mもあるような峠に上れるとか、一流のレースで活躍できるなんていうのは到底想像ができなくて、目の前にいる先輩とかについて行くのが必死、みたいなところから始まるわけですけども、「これ以上無理」と思えるような壁を何度も何度も越えているうちにいつの間にか最初からは随分離れた場所に到達していて、自分ができることの範囲が飛躍的に広がっている。僕は5年くらい真面目に自転車に乗りましたけど、毎年1年前の自分から遥かに進化していると感じることができたし、逆にそこまでやるには5年間という長い年月が必要だったと思うのです。
野球選手だって、歌手だって、写真家だってなんだってそうだと思うんですけど、プロとして通用するには何年も何年もかけてその集中の度合いを増していかないといけない。それは僕たちの仕事でも全く同じです。
別に「夜中に眠いのに無理して起き続けて仕事をする」みたいな非健康的な話をしているのではなくて、健康的な体を維持しつつ、体力もつけながら、精神的にも自分を鍛えて、仕事に集中できる質と量を高め続けていく、そういうことは最初の入り口で思うよりも遥かに奥が深い長い道のりだと思うということです。
「少し疲れているから休みを取って体を休ませます」と言って仕事を休む人を見かけます。体を壊さないように必要なときはゆっくり休んで欲しいと思います。それと同時に、少なくとも1週間安定して仕事に集中できる自分になれるように、日々自分を進化させていく、ということも忘れないで欲しいと思います。20代、30代っていうのは、そういう進化を一番させられる時期だと思うのです。あとから振り返って「随分遠くまで来たな」と思えるように何かをやる能力が増えているというのは、その対象がどういうものであれ素晴らしいことだと思うのです。
「疲れたから仕事を離れてのんびりする」というのではなくて、「疲れたからこそ仕事のことを考える」という事をやるところから、自分の道が始まるんじゃないかなあという気がします。