ゲーテが結構面白い

先日無趣味のすすめで紹介した雑誌『ゲーテ』ですが、他にも村上龍と建築写真家の二川幸夫の言葉が面白かったので紹介してみます。

ゲーテ』:http://www.gentosha.co.jp/goethe/

誰もやらないことをやれ、というのが本誌のタイトルだが、わたしは違和感を覚える。やれと言われて、はいやりますというような人はそもそもヴェンチャーに向かないからだ。誰もやらないことをやろうよ、というタイトルも同様だ。誰かに誘われ金魚の糞のようについていってヴェンチャー企業ができるのなら、今ごろ日本社会には大いなる活気がみなぎっていることだろう。やれという「命令・指令」、やろうよという「提案・勧誘」、やったほうがいいよという「推奨」などは、いずれもヴェンチャーの本質や原則に逆行する。
ヴェンチャースピリットを持つ人は原則的に少数派だ。みんながやろうとしていること、みんながすでにやっていること、すでにニーズが満たされていること、価値が定まっていること、それらに本能的に背を向ける資質がなければヴェンチャーなどやれない。ただしそれは他人の言うことに耳を傾けないという意味ではない。情報や知識やネットワークへの飢えを持ちつつ、少数派の立場を常に維持しなければ、あっという間に「既成」の波に呑み込まれるということだ。トヨタもソニーもホンダも、創業者は社会の少数派だった。小規模で孤独な環境から出発し、多数派に加入する誘惑を断固として拒絶すること、それがヴェンチャーの原則である。

村上龍

こんな過激めの内容で対象の読者ってどういう人なのかなーとか少し思いますがちょっと興味を惹かれました。
昔学生時代に京都市の商工会か何かがやっていた「起業家講座」みたいなのに顔を出して、「こんな場所に来ていること自体が起業家として素質が無いことの証にはならないですか」みたいな質問をして華麗にスルーされたことを思い出しました。

悔しい気持ちが大事なんだ。ほんとに殺してやりたいくらい癪に障るって気持ちがあれば、たいていのことは成し遂げられる。偉大な人間はみんな闘争心旺盛だよ。それを表に出す出さないは、別にしてね

二川幸夫

ある大手出版社の社長が、なんでも好きな本を作ってくれと依頼をしてきた。
「それじゃ『世界デザイン全集』を作りましょうという話になって、僕はシナリオを書き始めた。1年かけて書いたシナリオは、厚さ10センチになった。それ持って行って、取材費はだいたい4億8千万円くらいかかりますって言ったら、大社長が引っくり返った(笑)。4億8千万円に僕の取り分は入ってないんだよ。なのにその社長が『そんな無茶な』って言うから、頭にきた。こっちは1年もかけて、シナリオ書いたのに(笑)。僕の中では、ちゃんと勝算はあったんだ。全世界を相手に売ろうと思っていたから、40億円は儲かるだろうって。だって、それだけの本が作れるのは、世界中に僕しかいないんです。その時僕は、世界のどこにどういうデザインがあって、それがどうなってるか、全部知っていたんだから」

二川幸夫

二川氏については、他にもアメリカの建築に無断で入っていって写真を撮ってしまったエピソードなんかも紹介されていて、破天荒な感じが良く出ていた気がします。
あと、サイバーエージェントの藤田さんの別荘は山の中に光ファイバーを引き込んで立派な部屋もあって合宿にぴったりっぽくて羨ましかったです。
雑誌自体は、僕には良く分からない内容(車とか服とか)も多くて、僕は想定対象読者の中心からは外れているみたいでした。