よく「はてなはSNS(ソーシャルネットワーキング)はやらないんですか?」と聞かれます。「SNSを始めるのはいつですか?」という聞き方をする人すらいます。どうやらネット上で流行しているものは全部作るのがはてなだ、と思われているみたいなので、少し考えていることを書いてみたいと思います。
SNSサービスを使って最初に目に留まるのは、自分を招待してくれた人や、自分が招待をした人の顔写真がずらずらっと並んでいるページです。僕はこの人と友達です、というコレクションを作って、それを他の人にも見せるというのはちょっとしたカルチャーショックでした。
はてなはこれまで、人と人とを直接的に結びつける機能を避けてきたところがあります。例えばはてなダイアリーにしても、「お友達リンク」といった名前をつけて、自分の友達のダイアリーをサイドバーに表示できます、というような機能を作ることはできるわけですが、それはやっていません。代わりに、システム側でキーワードを自動的に抽出して、同じキーワードを書いている人にたどり着ける機能を提供したり、おとなり日記でよく似た内容の日記を紹介したり、という機能を提供しています。
アンテナにおいても同じサイトを登録している人を探す機能は提供していますが、ここに共通するのは人と人をキーワードやサイトを通して間接的に結びつける、というものです。
なぜ間接的な結びつけなのか、という理由は色々あるような気がしますが、直接的なつながりはなんかちょっと恥ずかしい気がする、とか、人間関係や興味がどんどん変わっていっても使い続けられるサービスにしたい、ということや、友達がいなくても使えるサービスにしたい、という理由があるように思います。
そういうこともあって、先の質問には「いやあ、やらないんじゃないですか」と答えることが多いわけですが、SNSサービスに見られるいくつかの便利な仕組みには注目をしています。
例えば「自分の友だちにだけ日記を公開する」ということがとても簡単に設定できる機能がありますが、はてなの場合は閲覧許可ユーザーでユーザー名を編集しなければならず、これは少し面倒です。
また、同じ趣味を持ったユーザー同士で意見交換ができる場所があることも便利です。社内でも個人的にもメーリングリストは活用しています。
実はこういった機能はぜひはてなでも実現したいという思いから、はてなグループの機能の充実を進めてきました。今月は、
と2つの大きな機能追加を行ったわけですが、これはいずれもさきほどの便利な機能の実現という目的によって行っています。
掲示板については、各グループでトピックごとにスレッドを作成して意見交流が可能です。書き込みがあればメールを送信するようにも設定できますので、メーリングリストのように使うこともできます。(すでにはてな社内では、社内用グループで新機能の実装について語るスレッドに始まり、「水泳部」スレッドや「自転車部」スレッドなどが活況を呈しています)
また、はてなグループを利用した閲覧許可、編集許可の設定については、先の「閲覧許可ユーザーを毎回編集しなくちゃならない」という操作の代わりに、「このグループには閲覧許可」と一度指定すると、グループのメンバーが変わっても何もしなくても良くなりました。(たとえばはてなの社員だけに公開したい日記を書きたければ、これまで社員が増えるごとに設定をしていましたが、社内のグループを許可するだけで設定できるようになりました)
これらの機能もまた、「グループ」という中間的な存在によって間接的に人と人とを結びつける機能と言えると思いますが、今後も人と人との関係性、ネットワークに根ざした機能を拡充していく際には、このグループを基盤に行っていく可能性が高いと感じています。
はてなグループは当初、「グループで独自のキーワードと日記を持てるグループウェア的サービス」としてリリースしましたが、今後はユーザー同士の関係性を定義するサービスとして発展していく可能性があると思っています。
この辺りの認識は、id:kanoseさんのエントリー(http://d.hatena.ne.jp/kanose/20050526#hatenamixi)にかなり近いかもしれません。
既に、掲示板やアクセスコントロール機能の追加によって、「キーワードも日記も存在しないグループ」の存在意義が出始めていると思っています。
キーワードや日記は書かなくて、同じような趣味やトピックを共有している人がメンバーとして登録されているだけのグループがたくさんあって、それで何ができるだろう、という取り組みを今後も続けていきたいと思っていますので、皆さんもぜひ気軽にははてなグループをご利用ください。
http://g.hatena.ne.jp/