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京大

京都大学の情報学科の「情報と職業」という授業で講演を行った。昼からの2コマを僕とid:stanakaで分担して1コマずつ話す構成で、僕の方はネットベンチャーのこれまでと現在をざっとまとめた上で、日米のベンチャー環境を比較しつつ、今後の展望を考える、というような話をした。教室は学生で埋まっていて後ろで立つ人もいる状態だった。NHKさんにもその様子を取材して頂いた。学生の方々にどういう風に内容が届いたのか、また感想を頂くのを楽しみにしたい。
今の京大で、情報学科に入って将来何をするか、というのはなかなか不透明な状況があるように思う。大手SIerさんに就職して、大規模なシステムの設計や開発の管理をやるのか、企業の情報システムを担当するような職に就くのか、いつつぶれるかも分からないようなネット企業などのベンチャーに入るのか、あるいは起業か・・・。
大きな会社ではエンジニアとしてのしっかりしたキャリアパスが無く、職場は3Kなんていうし、ベンチャーはベンチャーで技術畑出身で技術者を主体としたものづくりをするような企業はなかなか無いし、自分たちで会社を作るにしてもどうやればいいか分からない、みたいな状況にあるのかも知れない。
一方でスタンフォード大学のComputer Scienceなんかに行くと、勢いのあるベンチャーやIT系の会社がどんどん大学生を誘いに来て、学生はどの会社がこれから伸びそうかを見定めながらインターンやアルバイトをしたり、自分たちで起業しようと思えば周りの教授や起業経験者などがそれを支えて次々に企業ができていく。そういう中から、数年間頑張って億単位の資産を得るような人も現れ、またそういう人が次のベンチャーを助けていくというサイクルが回っている。成功する人が、自分ではとてもかなわないような超人的な人だったりするかと言えば必ずしもそうではなくて、その辺にいる人の良さそうな普通の兄ちゃん、という感じの人ばかりだ。そういう中から実際にGoogle創業者が10年も経たずにアメリカでも指折りの資産家になったり、YouTubeが20ヶ月で1800億円になって、受付嬢のアルバイトをしていた人が億単位の資産を得たり、Facebookが1兆円を超える買収金額を提示されたりして、学校にいるすぐ隣の学生が、明日は億万長者、みたいな世界になっている。情報技術を身につけて挑戦の切符を手に入れたのに、なぜ挑戦しないんだ?みたいな雰囲気を感じる。
そういうカラッとした挑戦の風土、すぐ横に大成功の可能性がごろごろしていて、自分も頭をひねってそれに乗ってやろう、というような雰囲気と今の日本の状況は随分違うと思う。だから何かが悪いという事では決して無いし、シリコンバレーだけが世界の中でもむしろ特殊なのだろうが、情報学科というのはこれからの未来を作っていく非常に挑戦的で可能性の大きい専門分野だということは確かだと思う。ちゃんと勉強をして、まだ誰も考えていないユニークな発想でものづくりをして、それが多くの人に受け入れられれば世の中を変えられる可能性がある魔法のような技術を手にしているのに、将来が見通せないなんていうのはあまりに勿体無い。
幸い京都には変なことをやっていても放っておいてくれる風土があって、独創的なものづくりをするには良い環境だと思う。そこに優秀な学生も多く集まっている。この環境を活かして、ちょっと自分の頭をひねって、何か世の中に変化を起こすようなものづくりをやって欲しい、やりましょう、という事を僕は伝えたかった。何かの変化が少しでも起こるきっかけになれればと思う。