おもてなしの経営学

中島さんおもてなしの経営学を読んでいたら、中島さんがコンピュータの歴史においていかに重要な仕事をされていたかが分かり驚いた。同じく元マイクロソフトの古川さんとの対談の中で、アスキーマイクロソフト時代のことが詳しく語られている。
中島さんとは何度か直接お会いした事もあるのに、マイクロソフトで活躍されていた、ということを漠然としか知らずにお話させて頂いていて恥ずかしい限りだ。PC9801のBASICの原型を高校生の時に作っていたとか、Windows95が出る前の、CairoというOSが本命視されていた時期にWindowsプロジェクトに入り込み、ビル・ゲイツの前でプレゼンをしてWindows95を次世代のOSにした話とか、Internet Explorerの価値がまだ認識されていない時期に勝手に手を付け始め、IE2,IE3を作り上げた話などなど、その先見性と行動力に驚くばかりの内容だ。それぞれの行動が世界に与えた影響は計り知れず、これだけ重要な開発が、日本人主導で行われていたという事実がもっと注目されるべきだと感じた。
一方で、こうした大企業の中からイノベーションを起こし続けようという考え方は、日本企業の中のほうが馴染むのではないかとも思う。文中で、オンライン版のOfficeを提案しビル・ゲイツに却下される場面が出てくるが、この際の「イノベーションはベンチャーがやり、それを買えばよい」「マイクロソフトマイクロソフトにしかできないことをやるべきだ」という考え方は、若い優秀なエンジニアが次々とベンチャーを起こす風土があればこそという気もする。日本のように、ある程度長期間企業に在籍することが風習としてある場合、優秀な人を企業に集めた上で、その企業の中からイノベーションを起こし続けていかなければ会社が持たないし、逆にこれができる企業であればトップクラスのエンジニアを集める事ができる。日本の自動車メーカーなどが世界的に競争力を保てるのも、こうした要因ではないかと思う。

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)

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