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長尾真さんの言葉

京都大学元総長の長尾真さんとお会いして直接お話を聞く機会がありました。
長尾先生は日本語の形態素解析構文解析法を確立した方で、世界を代表する言語処理研究の第一人者です。
これまでのご経歴の中でも、何が素晴らしいかというと、異端でありながら、華々しい功績を残されていることです。
例えば機械翻訳に取り組み始めた際に、当時主流ではなかった翻訳済みの用例をたくさん溜め込んで翻訳を行う方式に取り組まれ、その方式がその後の統計的機械翻訳方式につながっています。
最初に取り組むときには周りの人が異端児扱いするような方法でも、自分が「これだ」と思う方向に進むと決めた後は信念を持って進み続け、大きな成果につなげられている。そうした数々の功績を残されています。

そんな長尾さんに、どうしてそのようにいつも独自の新しい分野に取り組んで来られたのかをお聞きしたところ、「自分が面白いな、と思うものをとにかく探し続ける。既知のものではなく、未知のものを探し続ける。本当に面白いものは1年に1個も見つからない。それでも毎日人の話を聞いたり論文を読んだりしながら考え続ければ、1,2年に1つは見つかるものだ」と仰りました。

日本の起業家にメッセージはありますか、と会場の方が質問すると、「アメリカの真似をしない。人の真似をしない。自分の身の回りの人のために、徹底的に素晴らしいものを作る。そうすればそこに普遍性が現れる。それが世界に拡がっていく」というお答えをされました。

「とにかく自分が『面白い』、と思う事に取り組まないとだめだ」と楽しそうに話されるのを聞いていると、こちらまで楽しくなってきます。

実は僕が大学を卒業する時の総長が長尾先生だったのですが、卒業式のお話しなどは面白く無いもの、と決め込んで、卒業式も出席せずに旅行に行っていました。今思えばなんてバカなことをしたのだろうと悔やまれます。既に70歳を超えられていらっしゃるにも関わらず、未だに若々しく、「面白いこと」を探し続ける好奇心に満ちた表情で話される長尾さんは、なんてベンチャーな方なのだろうかと感じました。

京都から世界へ、を学術の分野でまさに体現された長尾さんのお言葉に大きな力を頂きました。