僕とはてな

人力検索はてなのアイデアを思い付いて、会社を作ろう!と思ったときに、本当にアイデアがうまくいくと思ってくれた人は誰もいませんでした。

検索エンジンでうまくキーワードを組み合わせて知りたい情報を探す、みたいな超絶(?)テクニックを、父親やこれからインターネットを始める人が全員習得しなくてはいけないのか、と思うと僕は気が遠くなりました。もっと人に優しい検索手段がないとダメだ!インターネットはもっと楽しく便利にできる!と思い、そのための方法を夢中で考えました。

他の人に文章で訊ける、という人力検索のアイデアを思い付き、質問を有料にして手数料で儲ける、というビジネスモデルを考えました。周りの人は誰もうまくいくとは思ってくれませんでした。身近な人で、一緒に手伝ってくれる人でさえ、「まあこいつがやるなら一緒にやるか」くらいの感じでした。

結果的には周りの人間が正しかったです。人力検索サイトをオープンしても、なかなか人が集まらなかったし、手数料の収入なんて微々たるものでした。あまりにも収入が無く、どこからも出資を受けられなかったので、3年間受託開発の仕事をしました。自分たちで考えて作ったサービスで、ビジネスが成り立つようになるのは、3年経ってからの事でした。

自分が今、10年前の自分に起業の相談をされたら、どういうアドバイスをするのだろう、としばしば考えます。
サービスのアイデアも、ビジネスモデルも稚拙で、多分すぐにはうまくいかない。でも本人にはやる気がある。何かをやりそうな勢いはある。

起業をした頃、いろいろな人に会って意見を聞きました。多くの人が、「多分そのモデルはうまくいかないよ」と言いました。その度に自信を失いそうになりました。それでも、「インターネットは絶対にもっと楽しく便利にできる!」という信念にしがみついて耐えていました。

もう一つ、僕を支えた言葉があります。大阪のとある実業家の方に会いに行ったときです。彼が手がける事業再生は、ほとんどうまくいく、という魔法のような方です。彼はエンジェル投資家としての活動もしていました。

僕がはてなの計画を話すと、彼はひとこと、「久しぶりのホームランだ!」と嬉しそうに叫びました。僕を紹介してくれた人に、「君が連れてくる人はいつも平凡で、たまにヒットがあるくらいだけど、今回は久々の大ホームランだ!」と、心から喜んでくれました。

それで出資をしてくれるのかな、と思ったら、彼は1円も出資をしてくれませんでした。僕には訳が分かりませんでした。しかし、彼が言った、「君は必ず成功できる」という言葉は、その当時誰からもうまくいかないだろうと言われ続けていた僕にとっては、神の信託のような力を持った言葉になりました。

「インターネットは必ずもっと楽しく便利にできる」という想いと、「君は必ず成功できる」という言葉にしがみつづけながら、僕はここまでなんとかやってきました。

人は、自分のペースでしか成長できません。それを周りの人はじれったいと思うかも知れない。でも、やっぱり自分のペースでしか成長できないんです。

これからも自分のペースで、前に進み続けます。

そして、同じように挑戦をする人に対して、前に進む力を少し与えられるような、そういう人間でありたいと思います。

Hatena::Staff Advent Calendar 2011 - はてなまとめ(仮)
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