毎朝好きな場所に座る「フリーアドレス」

はてなではオフィスでフリーアドレス制を導入しています。フリーアドレスとは、社員の座席を固定せずに毎日好きな場所に座って仕事をするスタイルのことです。

各社員にはロッカーが割り当てられていて、毎朝ロッカーから必要なものを取り出し、図書館のように好きな場所に座って仕事を始めます。作業をするためのパソコンは全員ノートパソコンを所有していて、どこに移動しても仕事ができるようにしています。椅子は各自の好みがあるので固定化されていて、自分の椅子を動かして新しい場所に移動します。はてなではさらに、「前日と同じ場所に座ってはいけない」というルールを作って、実質的に席が固定化してしまう事を防いでいます。

フリーアドレスの利点はいろいろありますが、まずコミュニケーションの相手が固定化しない点があげられます。毎日ランダムに周りの人が入れ替わるおかげで、社員同士のコミュニケーションに偏りが少なくなり、「たまたま営業の人と開発の人がとなりに座ったら、結構面白い話ができてよかった」みたいなことが生まれたりします。どこか一箇所にノウハウが片寄ったり、社員同士の派閥みたいなものもできにくいという効果があります。

別の利点は、オフィスが美しく保てる点です。仕事が終わると、次の日に座る人のためにその机は空っぽに片付けなくてはなりません。そうすると、毎朝会社に来ても机の上に書類の山が残っているといった事は無く、気持ちよく仕事が開始できます。自分の机が固定化すると次第に机の上に書類や名刺、文房具などが溜まっていってどうしてもごちゃごちゃとしてしまいますが、これを防ぐことができる心理的にも良い影響があると思います。

はてなでは毎週月曜日に10分間ほど社員全員で掃除をしていますが、雑巾で机の上を簡単に磨くことができます。このおかげで、ホコリの溜まった机などどこにもありません。些細なことのように思いますが、美しく気持ちの良い環境を保つことは、新しい発想や楽しい仕事のためには必須の条件のような気がします。

3つ目の利点は、毎朝「今日の仕事」を意識できる点です。これは心理的な効果ですが、何も物が置いていない机に物を置いて仕事を始めるとなると、「今日は何が必要か」を考えなければなりません。これは、「今日は何をしなくてはならないか」を考えることに他ならず、毎朝こうした事を意識し、必要なものだけを取り出して作業にかかることで、仕事の目的がはっきりとし、やるべき作業に集中できます。

何にせよ、フリーアドレスは「楽しい」仕組みです。毎日違う景色の場所で、毎日違う人のとなりに座って、綺麗な環境で仕事ができるのですから、固定化された机で書類に埋もれて仕事をするよりもずっとうきうきします。楽しく仕事をするというのは、大変だけれどとても大事な事だと感じています。

近藤本原稿入稿

CNETの連載記事翔泳社さんから書籍になることを最終回に触れましたが、編集の毛利さんから「これでは原稿が足りません」と言われたので追加で何回か書かなくてはいけなくなりました。
ということで、とりあえず1回分です。編集お願いします→id:mohri