命の輝き

毎年お盆になるとツール・ド・信州にでかけます。今年も5日間ほど信州に行って帰ってきました。
ツール・ド・信州というのは、信州の峠ばかりをつないだ厳しいコースを毎日走り続ける自転車のイベントです。今はサイクリングですが、いつかは日本のツール・ド・フランスのようにしたいと思っています。
毎日限界に近い力を振り絞りながら走る選手たちを見ていると、僕は不意に「死」を感じます。
落車が起これば流血を見ることになりますし、限界まで追い込んだ選手の表情には死相が漂います。そういう時、人間の肉体の限界がほんのすぐ近くにあることを感じずにはいられません。
そしてなぜか、その肉体はとても美しく輝いて見えます。死の存在を感じながら、眩いばかりの命の輝きをそこに見ることになるのです。
なぜ生物は、厳しい場所で最大の美しさを放つのだろうかと思います。厳しい冬に雪に閉ざされる高山の植物や、過酷な自然条件を生き抜く野生の生物。命はいつも死のとなりで、最も美しく輝きを放つ気がしてなりません。
人間が数千メートルもの標高差の山々を自らの力のみで超えていく。偉大な挑戦の中で、大きな自然の中で、一瞬解き放たれる輝きが見たくて、信州に通っているような気がします。
来年もまた、そんな輝きを忘れないように、僕は信州に行くのでしょう。
自分が生きていることを、何度も確認したいのかもしれません。
もっと多くの人に、この美しさを届けられないかと思っています。
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