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予測市場で要望を吸い上げる3

一見、参加者が思い思いに活動をしているだけだが、総体的にみると非常に正確な予測を行うという予測市場の仕組みは、Wisdom of crowds=集合知を生かす仕組みとして時に有効な手段として働く事が分かりました。
The Wisdom of Crowds: Why the Many Are Smarter Than the Few and How Collective Wisdom Shapes Business, Economies, Societies and Nations The Wisdom of Crowds
しかし、「アイデアを株に見立て、その株を取引する」と言う仕組みをはてなへの要望という狭い領域で市場化して本当に機能するのだろうか、という疑問が沸きます。
だいたい取引って、何を取引するの?はてなポイント?それともゲームのコインみたいなもの?そもそもそんな複雑な仕組みを作って、何人の人が理解して参加してくれるの?
とまあ、心配事やネガティブな要素を挙げていけば切りがありません。(おおよそこういう作業は簡単で、しかも発案者のやる気を萎えさせるのに十分な力を持っています)

そこで最初は以下のような仕組みでスタートしてみることにしました。

こうしてスタートしたのが、はてなアイデアベータ版でした。

スタートしてみて驚いたのは、予想以上にたくさんのアイデアが登録され始めたことです。ベータ版開始後のアイデア登録数は、

登録日 出来事
2005/04/28(Thursday) 134 ベータサービス開始
2005/04/29(Friday) 326
2005/04/30(Saturday) 86
2005/05/01(Sunday) 66
2005/05/02(Monday) 99

と、開始5日間で700件を超えました。
それともう一つ驚いたのが、いくら仮想的なポイントとはいえ、1000ポイントをもう少し計画的にベットしてもらえるだろうと思っていたわけですが、いきなり1つのアイデアに1000ポイントをベットするユーザーさんが結構いらっしゃったことで、この行為には正直「まずはこれをやってくれ、話はそれからだ」的な凄みを感じ、普段の日記やメールでは感じられていなかった緊張感が社内に走りました。

はてなアイデア開始直後のはてな公聴会では、「同じ内容のアイデアがたくさんあるが、こちらでくっつけられないか」とか、「既に実装が行われているアイデアがあるが、ベットしなければコメントできないのがもどかしい」といった意見を頂き、アイデアのくっつけ機能キャンセル機能、カテゴリー移動機能を追加して、アイデア登録者に少しアイデアの整理作業を手伝って頂けるような改良を行いました。

こうして始まったはてなアイデアは、その後も毎日数十件の新しいアイデアが登録され続け、1000人を超えるユーザーが参加し、2500件ものアイデアが登録されている状態になりました。

当初の、「きちんとはてなの意思が伝わり、ユーザーの皆さんに使っていただき、機能する状態になるだろうか」という心配はひとまず払拭できたので、いよいよアイデアの取引の仕組みの実装を行いました。

6月9日のリニューアルでは、次のような変更を加えました。

  • アイデアの株式は1000株まで自動的に発行されます。この際の価格は、1株あたり1アイデアポイントに固定されています
  • アイデアの発行済株式が1000株に達した場合、アイデア株の売買が可能になります。この場合、株式は0〜5の任意の価格で取引が可能です
  • 売却注文と購入注文はそれぞれ希望の価格と株数を指定して行われます。売却注文と購入注文の条件があった場合に売買が成立し、株式とアイデアポイントの交換が行われます
  • はてながアイデアを実装した場合には、あらかじめ指定された配当倍率に応じて配当金が支払われます。配当倍率はこれまで同様、はてな内での作業工数に応じて1〜5倍に設定されます
  • これまで、保有ポイントのランキングが表示されていたランキングページは、保有ポイントと保有株式の時価総額の合計評価額によるランキングに変更になりました
  • 各ユーザーのページは、これまでの取引履歴から、保有する株式の一覧(ポートフォリオ)とアイデアポイントの取引履歴の2部構成になりました。ポイントのやり取り履歴だけでなく、現在保有している株式の一覧を資産として閲覧することができます
  • 詳しくは、はてなアイデアのヘルプ http://i.hatena.ne.jp/help をご覧ください。

アイデアを株として取引し、1000株発行以降も任意の価格で売買が行える仕組みにしたのです。当初の発想どおり、予測市場と言える仕組みになりました。

この仕組みがうまくいくのか、はたまた、ユーザーの皆さんから要望を吸い上げる方法としてこの仕組みが理想なのかは現時点では全く分かりません。

結局のところ、複雑すぎてあまり利用してもらえずに終了するかもしれません。常識的な見方をすれば、相変わらずぶっ飛んでるという見方が普通だと思います。

でもこれまでのやり方だって、要望の窓口が満足に機能していた時期なんてほんの少しの時期だけだったし、基本的には失敗の連続だったわけです。結局大事なことは、はてなはユーザーの要望を聞きたいと思うし、どれだけサービスが大きくなっても、その要望を直接読んで、サービスの改善に繋げる事を最後まで諦めないんだ、という事だと思います。

しぶとく工夫を続けていれば、そのうち良いこともあるんじゃないかなと思っています。