監修のことば

僕が個人ホームページを立ち上げ、毎日の日記や、街で撮りためた写真を熱中してホームページに掲載していたのは大学生時代の1998 年頃でした。自分のホームページに随分と力を注いでいましたが、ページを見てくれるのはごく一部の知人のみです。もちろん何かしらの報酬が得られるわけでもありません。
やがて仕事を始め、自由な時間が少なくなると自然な流れでホームページはなくなりました。毎日の出来事や、考えたことをコツコツとホームページに掲載していた僕は、ある時を機にまったくそういうことをしなくなりました。
でも、毎日僕は生きています。24 時間生きていれば、そのぶんだけ出来事や考えたことがあるはずです。内容はある。語られるべき言葉がある。それをどこかに留めておきたいという気持ちもある。だけども時間のせいでそれができない。そんなのは悔しいじゃないか。
はてなダイアリー」を作りたい。なるべく多くの人に使ってもらいたい。そう思ったのはそんな気持ちからでした。日々の記録を書き留めるために必要な手順はなるべく簡単にしたいと思いました。いつも使っているウェブブラウザから、メモを取るように文章を書き込めたらどんなによいだろうと思いました。その文章に対して、ほかの人が気軽にコメントをくれたら、どんなにうれしいだろうと思いました。同じような文章を書いている人と、不意に出会うことができる仕組みがあれば、どんなに素敵だろうと思いました。
折りしも、米国で始まったブログブームが日本に上陸し、「はてなダイアリー」は日本発のブログツールとして人気を呼び、大きな成長を遂げています。インターネットの新しいツールとして、さまざまな機能が取り沙汰されています。しかし、ブームの本質にあるのは、たくさんの人が、毎日の生きている証を、この世に残すことができるよろこびではないかと思います。
はてなダイアリー」は「基本的なことは簡単に、でも難しいこともきちんとできる」、そんな考え方に基づいて作られています。本書では、その「基本的なこと」から「難しいこと」まで、「はてなダイアリー」のさまざまな使い方がわかりやすく解説されています。それぞれの機能は、多くのユーザーからの要望や議論によって追加されてきた便利なものばかりです。しかしあなたにとっては、すべての機能は必要ないかもしれません。
でもそれでよいのです。自分に必要な機能だけを使って、「はてなダイアリー」を使い続けてください。忙しい時は忙しい時なりに、少し凝りたい時はじっくり凝って、とにもかくにも使い続けてください。「はてな」を使ってよかったと思えるのは、そこからが本番です。
1 人ひとりの生活の記録や考えごとなど、取るに足らない些細な物語かもしれません。でもそれは、1 人の人間が生きた証です。あなたが生きてそこにいた記録です。その記録がなければ、あなたのことを知ることもなく一生を終える人がほとんどなのです。そして、1 年分の日記は、1 年かけてしか作ることができないのです。
1 本1 本は細い糸かもしれません。それでも、その糸と糸が複雑に絡み合い、見たこともないような布を織り成して、そして、その布のおかげでほんの少し、人生の幸せが増えることになればと願っています。