我武者羅應援團さんに応援していただきました

ご縁がありまして、我武者羅應援團さんにはてなにお越しいただき、はてなの応援をしていただきました。

細かい応援の様子は、はてなスタッフの松田さんや諏訪くんのブログをご覧ください。

我武者羅應援團というのは、プロの応援団です。テレビなどにも出られていて、最近ご活躍されています。
プロの応援団ってなに?と思われると思いますが、僕も最初そう思いました(笑)。そして、あの詰襟の制服に、ちょっと怖い顔。迫力ありますよね。

それで、どんな怖い人たちなんだろう、って最初思っていたのですが(笑)、実際に応援をして頂いて、武藤さんをはじめとする皆さんがなぜ応援団を始めたのか、というお話をお聞きし、はてなのスタッフ面々に対する丁寧な応援を正面から受け取っているうちに、そういう最初にちょっと構えていた自分のガードが完全に外れてしまい、というか、応援団さんに対しての構えどころか、普段人様と接する際の構え、自分の心の壁、他人に対して、自分はここまでは出せるけど、それ以上は見せないよ、と無意識に作っている心の壁みたいなものがあると思うのですが、その壁も気づけば乗り越えられ、心の奥のほうまで応援団さん、押忍!とお越しになって、そして僕の心の真ん中あたりで、なんだかめちゃくちゃ温かいものをぽんっと置いて下さり、それからまた押忍!と仰って帰られて行きました。

やられました。

あんなに心の中までやってきて、全力で応援されたら、半年くらいは頑張れそうな気がします。胸の真ん中辺りに、まだなんか残っている感じがします。

他人のことを、まるで自分のことのように考え、応援する相手のことをとにかく好きになり、そして全力で応援する。本気で応援できるかは、相手のことを本気で好きになれるかどうかの、自分との勝負だ、と仰っていました。そして、何があっても相手のことを信頼し、応援をやり通せた時に、やり通せた自分のことを好きになれる。それができた自分のことを応援ができるようになる、と仰っていました。それって応援の話だけじゃなくて、人と人が愛しあったり信頼しあったりするときの、一番根本的な話だと思いました。

リーダーの武藤さん、高校の時に応援団に憧れて入部したものの、先輩のシゴキに耐えられずにすぐに退部。でも応援団をやりたかった、という憧れを諦めきれず、ずっと後悔していて、社会人になってから、やっぱり応援団がやりたい、と決心して、プロの応援団を立ちあげられたとか。

その時に、はてなが紹介された記事をご覧になられて、そういう風に挑戦している人がいるんだ、と思われたということで、なんと昔々の懐かしい記事の切り抜きを大事に保管されていて、もう10年以上も前と思われる記事を目の前につきつけられて、まさかそんな風に、人様の人生に関わることができていることなんてあるのかと、恥ずかしいような、責任を感じるような、でもちょっと救われるような思いでした。

我武者羅應援團、最高です!
温かいお気持ちを頂き、ありがとうございました!

本もおすすめです。
「本気で生きる」以外に人生を楽しくする方法があるなら教えてくれ、ですよ、ほんと!

僕らの仕事は応援団。 ~心をゆさぶられた8つの物語~

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「本気で生きる」以外に人生を楽しくする方法があるなら教えてくれ

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天声人語ではてなをご紹介いただきました

今日から10月。世の中的には下半期が始まったり、随分と暑さも収まって季節も秋になり、また新しい気持ちで進んでいこう、と思っていた矢先、朝日新聞の天声人語で、はてなのことをご紹介いただきました。

天声人語といえば、入試や教科書にも出てくるコラム。なかなか一企業の取り組みが個別に紹介されるような場所ではないと思いますが、今回、はてなでの取り組みを社名入りでご紹介頂いています。

中学生だった頃から、世の中でなかなか本音が語られず、意味のない制度だけがひとり歩きしてまともな意見が聞き入れられないような社会の雰囲気に違和感を感じていました。自分で会社を作った以上、まっとうな意見がちゃんと通る組織にしたい、と思って会社をやってきています。

そうした取り組みについて、2006年に『へんな会社の作り方』という本に書かせて頂きました。

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

「へんな会社」のつくり方 (NT2X)

今回は、その本から、社内での風通しを良くする取り組みについてご紹介を頂いています。

2006年に本を書いてから7年。あれから会社の人数も増え、本に書いてある内容をまだやっていることもあれば、考え方はそのままでも、やり方がどんどん変わっている部分もあります。

実際は、組織の階層が増えてだんだんと思っていることが言えなくなったり、逆に思っていることを不適切な方法で伝えすぎて相手を傷つけてしまう、といったことも起こり、そのたびに組織作りの難しさを感じて今に至ります。

ということで、まるで理想的な会社のようにご紹介頂いていますが、僕たちはまだまだ成長していかなくてはいけないところばかりです。
ただ、会社を創業した当初の、ちゃんとお互いが本音で語り合えるような組織でいたいという気持ちは変わりませんし、最近ますますその重要性を感じています。

ご紹介に恥じないよう、これからも頑張って良い組織にしていきたいと思います。
朝日新聞さん、ご紹介ありがとうございました。

どこが不格好なんだ『不格好経営』

DeNA創業者の南場智子さんが、『不格好経営』という本を書かれて、これまでの道のりを僕たちでも読めるようにしてくださいました。なかなかお話をお聞きする機会も少ない方ですから、とても嬉しいことです。そして読んでみると、とにかくすがすがしい気持ちになりました。

どうして不格好かというと、DeNAの歴史は波乱の連続。まるでドタバタ劇のように次から次へとトラブルやピンチが訪れて、それを持ち前の明るさとタフさで前向きに乗り越えて行く、というドラマの連続だからです。

DeNAというと、ソーシャルゲームで儲けまくっている会社、というイメージですが、その歴史は、なかなか黒字が出ずに苦労されたり、新規事業の立ち上げに苦労されて、業態転換を余儀なくされたり、と波乱万丈。ところが、シリアスな話のはずが、なぜか毎回クスッと笑ってしまうようなディテールの描写と、明るさがあります。なにか、コメディドラマを見ているようなおかしさ。ものすごく真面目に一生懸命やっている人の、がむしゃらさと、ある種の滑稽さ。それを実は自分でも分かりながら、他の楽しみはすべて捨てて、ただただ仕事に向き合い続ける潔さ。そこに圧倒的な集中があり、だからこその成功があり、とてもすがすがしい気持ちになるドラマです。1ページに1回くらいクスッと笑い、10ページに1回くらい涙を浮かべながら読みました。

客観的に見ると、経営史です。しかし、僕が一番感銘を受けたのは、礼儀でした。礼儀という言葉が一番適切かどうかは自信がないですが、とにかく南場さんは人を大事にする。人間に対する愛情や、思いやりから来るのであろう、礼に満ちた態度だけは、最初から最後まで一貫しています。

本の前書きにこんなくだりがあります。

「本を書くことを躊躇していたひとつの理由は、お世話になった人、頑張った社員について、すべてを平等には書けないし、感謝の気持ちも到底十分には伝えられない、その失礼が耐えがたいということだった。」

僕も一度本を書いたことがあります。お世話になった方にとても失礼な事ですが、こんな考えには及びませんでした。これまでの事を振り返るのであれば、世話になった方に適切な礼を述べるべきである、と仰っているわけです。ハッとしました。

上場後に株を売る時の話も印象的です。創業から随分経ち、DeNAが上場したあと、創業メンバーの渡辺さんが株を売りたいと言い出した。渡辺さんはすでに一度小説家を目指してDeNAを辞めて、また戻ってきた経緯もある。ところが南場さんは、創業の時に約束したから、と売却を止めます。南場さんと川田さんと渡辺さんの創業メンバー三人で、「株は売らない、売るなら一緒に」と約束したじゃないか、と。その約束を守るために、三人で手はずを整えて、同じ数だけ合わせて売却をした、というのです。

そんな約束があったのなら、仕方がないだろう、と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、そもそもベンチャーの創業時の約束なんて、夢みたいなものです。「僕たち成功して上場しような!」と話していたとしても、実際に上場できる会社はほとんどありません。メンバーがそのまま仲間でいられる事も稀です。そんな夢みたいな話を、何年経ってもずっと覚えていて、何よりも大切にする。物語として美しいと思いました。どこが不格好なんですか。格好良すぎます。

そしてあとがきで、リクルートの信國さんとのエピソードが紹介されて、結ばれています。

創業時にリクルートに出資を仰いで、事業の立ち上げにも協力してもらったリクルートから、立ち上げを手伝った優秀な社員の方がDeNAに転職された。それで信國さんから6時間詰められた。南場さんは、本人の意思です、と言い続けた。その後に信國さんとは疎遠になり、きちんと話ができないまま信國さんが他界された。南場さんは、その事が、こんなに自分を苦しめるとは思わなかった、と仰っています。そして、人を採ったことよりも、自分は誘っていないと言い続けたことが自分を苦しめている、と締めくくられています。

南場さんは、「本書を執筆した理由のひとつは、信國さんに伝えたいことがあったからでもある」と書かれています。自分がお世話になった方へ、礼を尽くせなかった事を悔い、この本を捧げられたのだと感じました。自分の事や、DeNAの事ではなく、他のどんなあとがきよりも、創業時にお世話になった方への恩を優先されたのだと思いました。

どうして最初から最後まで、ここまで礼儀だけは一貫されているのかと考えると、きっとご両親の教えなのだろうと思いました。

冒頭に紹介されるお父さんは、かなり厳しいお父さんで、父の言う事は絶対。特に理由は説明されないが、父が決めればそれが絶対的に家族の決定、というご家庭です。父が家に帰るとなると、お母さんと妹さんと三人で父を迎える準備をし、ご飯を出す、というご家庭だったそうです。

あまりに厳しいし、理不尽に感じます。ところが、南場さんはそのお父さんのことをまるで悪く書いていません。お母さんが、その父を支えられ、それが正しい、という秩序のある環境を作られていたのではないかと思いました。そしてその秩序だけは維持されていて欲しい、と思う南場さんのお気持ちが、一貫した礼に満ちた態度を作り出しているのではないかと感じました。

すがすがしさのもう一つの理由は、人に対する一貫した礼に満ちた態度です。礼儀は、ある種、理不尽なものだと思います。挨拶をしたら挨拶を返せ、という話に対して、なぜか、と言ったところで、なぜも何もなかったりします。理由なんてないのに、ここまで物語を美しくする。人をすがすがしい気持ちにさせてくれる。そういう人としての大切な態度を、学ばせて頂いた気がします。南場さん、ありがとうございました。いつかまた、お話してみたいです。

不格好経営―チームDeNAの挑戦

不格好経営―チームDeNAの挑戦